【江本手袋】
香川県東かがわ市を 「手袋職人の聖地」にしたい。

 上質な手袋やマフラーを展開する自社ブランド「佩(ハク)」は、讃岐の方言の、「手袋をはく」に由来する。

 

「当社のファクトリーショップには、全国からお客様が来てくれます。オンラインショップでも、お客様の要望に対応することで心通わすコミュニケーションが生まれています」と話すのは、江本手袋(株)三代目社長の江本昌弘さん。全国からお礼の手紙やお菓子などが届くそうだ。

東かがわの手袋づくりは、明治時代に始まる。江本手袋は、1939年創業、一貫して縫い手袋を国内で製造してきた。しかし、時代とともに周囲の工房も減少の一途。2016年には、江本手袋の売り上げの8割を占める取引先が倒産し、廃業を考えたが、周囲の後押しもあって再スタートを決意する。

どうせやるなら、これからは自分達のやりたい経営をやろう。注文を待つだけでなくこれからは自分達で作って自分達で売って行こうと「手袋職人を守り育てる」をコンセプトとした自社ブランド「佩・ハク」を立ち上げ、経営の立て直しに取り組む。まず、職人を守るために「佩」の工賃は通常の1.5倍にした。シンプルなデザインを極め、素材は最高級のウールを使用し、25色展開で驚かせた。

 一方で、一人の職人が一双を最初から最後までバランスを取りながら縫い上げるという昔から職人たちが磨き上げてきた「縫い方」は変えずに技術の継承に努めている。

江本さんが目指すのは、イタリアのラグジュアリーブランド「ブルネロ クチネリ」の人間主義的経営。「何よりも職人を大切にする企業です。設立した職人養成学校は、学びながら給料も出ます。利益は村の家屋の修繕費や、劇場・公園などの設営に還元して、会社の経営と地域の発展が一体化しています」と江本さん。

 江本手袋は、高松の服飾専門学校に手袋づくり講座を開講。縫製に慣れている学生でも、1㎜ほどの細い曲線の縫い代に苦戦するそうだ。

 また、昨年から地域のメーカーが連携して工場を見てもらうオープンファクトリー「CRASSO」の取り組みを行っている。

 さらに、江本手袋が、JR四国の観光ツアーになり、地元の学生の見学、インターンシップの受け入れにもつながってきている。

 テレビ番組を通じて、聴覚障害などを抱える子どもたちの「ホワイトハンドコーラス」の手袋の製作を担当して感動を与えたり、着物の帯を使った今までになかった日本の技術を誇れる手袋の制作をしたりと、手袋の新しい価値の創造にも取り組んでいる。

 江本手袋が提供する新しい価値の一つで、手袋を通して東かがわを「もうひとつの故郷」と思って欲しいとの思いから、今年6月に「タイミートラベル(地方の仕事や生活の体験)」と連携して、1週間の手袋職人体験の受け入れを始めた。

 江本さんが7年前に掲げたビジョンは、実現されつつある。今後も目標は明確だ。

DJ歴35年、様々なイベントで「手袋DJ」として活躍する江本社長、

「育てた職人たちがこの地で独立して自分の手袋ブランドの店を開き、一緒に軒を連ねられたらいいですね。東かがわが、観光地となり、宿泊施設やカフェができ、手袋職人の聖地となるように努力していきたいです」

江本手袋株式会社   香川県東かがわ市引田2734 駐車場あり

0879-33-3165     https://www.emoto-tebukuro.jp/

 

 

 

 

 

 

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